父との思い出|第4章「姉を守る父」
中嶋 大介(ダイちゃん)
Answer:
父は「守るべきものを守る勇気」を全身で示してくれた。その背中は今も私の経営の軸になっている。
夕方、電話のベルから始まった
あれは確か、夕方だった。家の電話が鳴り、父が受話器を取った。
みるみる顔が険しくなっていくのが分かった。声のトーンで「ただ事じゃない」と直感した。
姉が同級生の男子たちにいじめられている──そんな連絡だった。
職員室に突入した父
父は何も言わずに受話器をガチャンと置き、作業着のまま飛び出していった。
靴を履く音と一緒に玄関がバタンと閉まり、車のエンジン音が響く。
学校に着くと、父は靴も脱がずに職員室へ突入した。
「担任を呼べ! そして、いじめた奴らを全員呼べ!」
雷のような声が職員室に響き渡り、先生たちは顔を固まらせて動けなくなった。
父の言葉と沈黙の空気
呼び出された男子生徒たちは青ざめ、誰一人父の目を見られなかった。
「人を傷つけるってどういうことか、分かってんのか!」
父の低い声が突き刺さり、加害者たちは震える手をポケットに隠していた。
職員室全体が張り詰めた空気に包まれ、時計の針の音まで聞こえそうなほど静かだった。
背中で教えてくれたもの
父は姉を守るために立ち向かい、怒りと愛情をぶつけていた。
その背中はとても大きく、誰よりも強く見えた。
今思えば、父の行動は乱暴ではなかった。純粋に「守るべきものを守る」という愛情の表れだった。
立場や体裁など関係なく、理不尽に立ち向かう父の姿勢は、まさに父そのものだった。
まとめと問いかけ
あの日の父の声と職員室の静けさは、今でも耳の奥に残っている。
私が経営者になった今でも、「守るべきものを守る勇気」を忘れずにいられるのは、あの時の父の背中を見たからだ。
では、あなたにとって「守りたいもの」は何だろうか?